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NASAアルテミス計画とは?2026年の状況と日本の役割を解説

宇宙探査・有人宇宙

この記事のポイント

NASAアルテミス計画は国際協力による月探査計画で、2026年4月に有人月周回のアルテミスIIが成功しました。安全性への懸念から計画は再編され、初の有人月面着陸はアルテミスIVに変更され2028年が目標です。日本人宇宙飛行士も月面着陸の機会を得る見込みです。

NASAアルテミス計画とは?2026年の状況と日本の役割を解説

「NASAアルテミス計画って結局どこまで進んでいるの、日本人はいつ月に行けるの」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  • NASAアルテミス計画の目的と参加の枠組み
  • アルテミスI〜Vの進捗と2026年の計画変更
  • 日本の役割と日本人宇宙飛行士の月面着陸時期

NASAアルテミス計画は、2026年4月のアルテミスII飛行成功を経て新たな段階に入り、月面着陸に向けた計画の見直しも進んでいます。本記事では計画の全体像から最新のスケジュール変更、日本の関わりまでをまとめて解説します。

読み進めることで、ニュースで断片的に見聞きしていたアルテミス計画の全体像がひとつにつながり、今後の展開を自分ごととして追えるようになります。

アルテミス計画とは何か

NASAアルテミス計画は、アメリカが主導し複数の国が協力して進める月探査プログラムです。半世紀前のアポロ計画以来となる有人月面着陸を実現し、月面での長期的な活動基盤を築くことを目指しています。単発の着陸で終わらせず、繰り返し月へ行き来できる仕組みをつくる点が最大の特徴です。

アルテミス計画の目的と月面探査の意義

月で得られる知見や技術は、その先の火星探査を見据えた実証の場としても位置づけられています。このような持続可能な挑戦を進める上では、有人宇宙探査の歴史の原点であるアポロ計画の全貌の教訓を振り返ることが不可欠です。

読者の多くが気になるのは、なぜ今また月を目指すのかという点です。月には水の氷が存在すると考えられており、飲料水や燃料の原料として活用できる可能性があります。地球から近く、火星探査に必要な技術を試す実験場として月が最適だという判断が背景にあります。

計画名の由来とアポロ計画との関係

アルテミスという名称は、ギリシャ神話に登場する月の女神に由来します。アポロ計画の名前の由来であるアポロン神とは双子の関係にあたる女神で、女性宇宙飛行士による月面着陸を初めて実現するという意図が名称にも込められています。これは、有人月面到達の金字塔である人類初の着陸に成功したアポロ11号の偉業を引き継ぎ、現代の技術でさらに先を目指す姿勢の表れでもあります。

アポロ計画が冷戦下の国家的威信をかけた短期集中型のプロジェクトだったのに対し、アルテミス計画は国際協力を前提とし、月面での長期滞在を見据えている点で性格が異なります。

アルテミス計画の参加国と国際協力の枠組み

アルテミス計画には、日本、カナダ、オーストラリア、欧州宇宙機関(ESA)加盟国など多数の国と地域が参加しています。各々の開発を安全に遂行するためには、過去の宇宙開発における危機管理の教訓として有名な奇跡の生還劇となったアポロ13号事故の経緯などを教訓として活かす必要があります。

主な協力の枠組みは次のとおりです。

枠組み内容
アルテミス合意月探査における行動原則を定めた政治的な合意
商業月面輸送サービス(CLPS)民間企業による月面への物資輸送を活用する仕組み
ゲートウェイ計画月周回有人拠点を国際協力で建設する取り組み

アルテミス合意とは何か

アルテミス合意は、2020年にNASAが提唱した、月やその他の天体における探査活動の原則をまとめた政治的な宣言です。資源の平和的利用や情報公開、緊急時の支援などについて各国の共通認識を示すもので、法的拘束力を持たない点が特徴です。

2020年に8か国で始まった署名国は年々増え続け、2026年には60か国台後半に達しています。参加国の広がりは、アルテミス計画が一国のプロジェクトではなく国際的な枠組みへと発展していることを示しています。

アルテミス計画を支える主要システム

NASAアルテミス計画は、単一のロケットや宇宙船ではなく、複数のシステムを組み合わせて成り立っています。それぞれの役割を理解すると、ニュースで報じられる各ミッションの内容がぐっと分かりやすくなります。これらの開発にあたっては、かつての悲劇の火災で課題となったアポロ1号宇宙服の耐火性など、過去の失敗から得られた安全設計の原点が活かされています。

オリオン宇宙船の役割

オリオンは、乗員が搭乗する司令船と、推進力や電力を供給するサービスモジュールで構成される有人宇宙船です。底面の直径は約5メートルで、アポロ計画の宇宙船に比べて容積は3倍近くあり、最大6人が滞在できる設計になっています。これは、有人飛行時の居住性を高め、過酷な月面環境での活動に備えるための工夫です。

サービスモジュールの開発は欧州宇宙機関が担当しており、国際協力の象徴的な存在でもあります。地球への帰還時には大気圏に再突入し、太平洋への着水によってミッションを終えます。

SLSロケットの特徴

SLS(Space Launch System)は、全長約98メートルの巨大な2段式ロケットです。スペースシャトルで培われたエンジンや部品の技術を多く流用しており、月遷移軌道には約27トンの打ち上げ能力を持ちます。この圧倒的な推力をもって、かつてのアポロ計画以来となる有人での月面着陸の歴史の新たな章が始まろうとしています。

両脇に装着された固体ロケットブースターが強力な推進力を生み出し、オリオン宇宙船を月へ向かう軌道まで押し上げる役目を担います。

月着陸船HLSとブルームーンの違い

HLS(有人着陸システム)は、宇宙飛行士を月面まで運ぶ着陸船の総称です。現在はスペースX社のスターシップHLSと、ブルーオリジン社のブルームーンという2つの機体が並行して開発されています。民間企業の積極的な参入は、持続可能な月への有人探査の意義を広げ、コスト削減を果たす鍵となります。

両者の違いを整理すると、次のようになります。

項目スターシップHLSブルームーン
開発企業スペースXブルーオリジン
打ち上げロケットスターシップニューグレン
想定される役割アルテミスIII以降の着陸試験アルテミスIII以降の着陸試験

2社を並行開発する体制は、片方に不具合が生じても計画全体を止めない冗長性を持たせる狙いがあります。

月周回拠点ゲートウェイの構想

ゲートウェイは、月を周回する軌道上に建設が計画されている有人拠点です。月面と地球を結ぶ中継基地として、将来的な火星探査の実証の場としても位置づけられてきました。この中継拠点から物資や人員を安全に月面に送り届けるために、月着陸船の基本構造の連携や技術検証も段階的に進められます。

ただし、2026年に入りゲートウェイの建設は一時停止となっており、今後の再開時期や規模については流動的な状況が続いています。アルテミス計画全体の進み方を左右する要素のひとつとして、今後の発表が注目されます。

アルテミスI〜Vミッションの進捗と2026年の状況

アルテミス計画は、番号を振られた複数のミッションを段階的に積み重ねる形で進んでいます。ここでは、それぞれのミッションが何を目的とし、2026年時点でどこまで進んでいるのかを整理します。

アルテミスI無人試験飛行の成果

アルテミスIは、2022年11月に打ち上げられたオリオン宇宙船とSLSロケットの無人飛行試験です。月周回の遠方逆行軌道を飛行し、有人対応宇宙船としてはアポロ13号を上回る約43万キロメートル先まで到達しました。

約25日間の飛行を終えた後、太平洋上へ着水し、システムの安全性を確認するという最初の目標を達成しました。

アルテミスIIの有人月周回飛行と帰還

アルテミスIIは、アルテミス計画で初めて宇宙飛行士が搭乗するミッションです。2026年4月にケネディ宇宙センターから打ち上げられ、4人の飛行士を乗せたオリオン宇宙船が月をフライバイして地球へ帰還しました。

月面には着陸せず自由帰還軌道を飛行するミッションでしたが、有人宇宙船が月周辺まで到達したのはアポロ計画以来、約半世紀ぶりのことです。

アルテミスIIIで実施される軌道上試験

アルテミスIIIは当初、有人月面着陸を担うミッションとして計画されていました。しかし2026年の見直しにより、地球低軌道上でオリオン宇宙船と月着陸船をランデブー、ドッキングさせる試験ミッションへと役割が変更されています。

新たな船外活動用宇宙服の試験なども合わせて行われる予定で、実施時期は2027年が見込まれています。

アルテミスIVで目指す有人月面着陸

計画見直しの結果、アルテミス計画で最初の有人月面着陸はアルテミスIVが担うことになりました。実施時期は2028年が目標とされています。

このミッションでは、日本人宇宙飛行士が搭乗する機会も予定されており、アメリカ以外の国籍者として初めて月面に立つ可能性がある点が注目されています。

アルテミスVによる月面拠点構築への展開

アルテミスVは、2028年後半に2回目の有人月面着陸を担うミッションとして計画されています。このミッション以降、月面での定常的な活動を支えるインフラ整備が本格化する見通しです。

通信網や発電設備の整備など、月面基地の建設に向けた準備が段階的に進められることになっています。

2026年の計画再編で変わったこと

アルテミス計画は、2026年に入り大きな見直しが行われました。当初の計画から何がどう変わったのかを押さえておくと、今後のニュースを正しく理解しやすくなります。

計画見直しの背景にある安全性への懸念

NASAの航空宇宙安全諮問パネルは、当初のアルテミスIIIに初めての挑戦が集中しすぎていると指摘しました。月着陸船の軌道上燃料補給、新型宇宙服の運用、月面での離着陸など、前例のない試みが一度に重なることでミッション全体のリスクが高まるという懸念です。

同パネルは、スケジュールを優先するあまりリスク低減がおろそかにならないよう注意を促し、段階を踏んだ開発を進めるべきだと勧告しました。

アルテミスIIIの役割変更の内容

見直しの結果、アルテミスIIIは有人月面着陸ではなく、地球低軌道での試験ミッションに位置づけが変わりました。オリオン宇宙船と月着陸船とのランデブーやドッキング、生命維持装置や通信系の統合試験、新型船外活動用宇宙服の検証などが実施されます。

月に向かわず地球周回軌道内で試験を完結させることで、未実証の技術を段階的に確認できる体制へと切り替えた形です。

月面着陸がアルテミスIVへ先送りされた理由

これらの変更にともない、アルテミス計画で最初の有人月面着陸はアルテミスIVが担うことになりました。急がば回れの発想で、ひとつずつ確実に技術実証を積み重ねる方針への転換です。

以下は、見直し前後での役割の変化を整理したものです。

ミッション見直し前の役割見直し後の役割
アルテミスIII有人月面着陸地球低軌道での軌道上試験
アルテミスIV2回目の有人月面着陸最初の有人月面着陸
アルテミスV月面拠点構築の準備2回目の有人月面着陸

この再編は遅れとも受け取れますが、安全性を最優先しながら着実に前進する狙いがあるといえます。

日本の参加内容と日本人宇宙飛行士の月面着陸

NASAアルテミス計画には日本も深く関わっており、日本人宇宙飛行士が月面に立つ計画も具体的に進んでいます。ここでは日本の役割と、実現時期の見通しを整理します。

与圧ローバ提供による日本の貢献

日本は、宇宙服を着なくても車内で生活できる与圧キャビンを備えた月面探査車を提供することで、アルテミス計画に貢献しています。この与圧ローバの提供は日米間で正式に合意されており、日本の技術力を生かした重要な協力項目のひとつです。

この合意にもとづき、日本人宇宙飛行士が月面に着陸する機会を得られることになりました。アメリカ国籍以外の宇宙飛行士が月面に立つのは、アルテミス計画で初めてのケースです。

日本人宇宙飛行士候補と選定の状況

月面着陸の候補として、JAXAに所属する宇宙飛行士が訓練やフィールドワークを重ねています。候補者は複数人おり、今後の選抜プロセスを経て正式な搭乗メンバーが決まる見込みです。

選定にあたっては、地質学的な知識や過酷な環境下での活動能力など、月面という特殊な環境に対応できるかどうかが重視されています。

日本人の月面着陸が実現する時期

日本人宇宙飛行士が月面に着陸する最初の機会は、アルテミスIVでの実施が想定されています。2026年の計画見直しにより、アルテミスIVが最初の有人月面着陸ミッションに位置づけられたことで、日本人の着陸時期もこのミッションに合わせて調整される見通しです。

さらに、与圧ローバに搭乗する2回目の機会も計画されており、日本の関与は一度きりで終わらない継続的なものになっています。

アルテミス計画の予算とコストの実態

NASAアルテミス計画は、規模の大きさに比例して予算面でも注目を集めています。ここでは、これまでにかかった費用や今後の予算動向を整理します。

NASAの予算要求と削減の動き

アルテミス計画に関連する費用は、2012年度から2025年度までの累計で930億ドル規模にのぼるとされています。日本円に換算すると10兆円を超える巨額の投資です。

一方で、2026会計年度のNASA予算要求額は前年度実績から2割以上減少しており、予算をめぐる政治的な議論が計画の進み方に影響を与える状況が続いています。

SLS打ち上げにかかる費用

SLSロケットとオリオン宇宙船を組み合わせた1回の打ち上げには、約41億ドルの費用がかかるとされています。日本円で数千億円規模にのぼる金額で、使い切り型のロケットであることが高コストの一因となっています。

打ち上げ費用の高さは、NASA内部でもたびたび議題にのぼっており、コスト削減に向けた検討材料のひとつです。

日本が投じる予算の規模

日本もアルテミス計画に向けた研究開発費として、年間数百億円規模の予算を投じています。与圧ローバの開発や日本人宇宙飛行士の育成など、日本の貢献分野に対応した予算配分がなされています。

以下は、予算規模の目安をまとめたものです。

項目金額の目安
アルテミス計画全体の累計費用(2012〜2025年度)約930億ドル
SLS・オリオン1回の打ち上げ費用約41億ドル
日本の年間研究開発予算数百億円規模

規模の大きさゆえに予算超過や見直しが繰り返されており、今後もコスト管理は計画全体の重要な課題であり続けると見込まれます。

まとめ:NASAアルテミス計画は2026年に前進し月面着陸は段階的に進む

本記事では、NASAアルテミス計画の目的や参加国の枠組み、オリオン宇宙船やSLSロケットといった主要システム、アルテミスI〜Vの進捗、2026年の計画再編、日本の役割と予算について解説しました。

本記事のポイント

  • アルテミス計画は国際協力による持続的な月探査プログラムである
  • 2026年の見直しで有人月面着陸はアルテミスIVへ先送りされた
  • 日本人宇宙飛行士の月面着陸もアルテミスIVでの実現が見込まれる

計画の全体像と最新の変更点を押さえたことで、今後のミッション報道の意味も理解しやすくなったはずです。技術面でも予算面でも段階的な前進を続けるアルテミス計画は、日本の宇宙産業にとっても大きな意味を持ちます。

宇宙開発の最新動向をさらに深く知りたい方や、関連する事業展開にご関心をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

NASAアルテミス計画に関するよくある質問

参考文献

  1. Moon to Mars | NASA's Artemis Program - NASA
  2. アルテミス計画と日本の宇宙探査活動 | JAXA 国際宇宙探査センター
  3. アルテミス計画の現状について(内閣府 宇宙開発戦略本部 資料)

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執筆者

Space With 編集部
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編集部

「宇宙ビジネスを、ビジネスとして読む。」をコンセプトに、国内外の宇宙産業(衛星・ロケット・宇宙データ・月面開発等)の動向を追う専門記者・アナリスト集団。AI時代に信頼される一次情報源を目指し、ファクトとデータに基づく客観的な分析・解説を日々お届けします。

監修者

Space With リサーチチーム
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リサーチチーム

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