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国際宇宙ステーションの速度は秒速7.7km・なぜ速いのか解説

宇宙探査・有人宇宙

この記事のポイント

国際宇宙ステーションの速度は秒速約7.7km、時速約2万7600kmで、地球を約90分で一周する。この速度は高度約400kmの軌道で重力と遠心力がつり合う値であり、大気抵抗による軌道減衰をリブーストで補いながら維持されている。

国際宇宙ステーションの速度は秒速7.7km・なぜ速いのか解説

「国際宇宙ステーションはどれくらいの速度で飛んでいるのだろう。そもそも、なぜそんなに速く飛ぶ必要があるのだろう」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  • 国際宇宙ステーションの正確な速度・高度・周回時間
  • この速度で飛行する軌道力学の仕組み
  • 地上からISSが肉眼で見える理由

国際宇宙ステーションの速度は、秒速およそ7.7km、時速に換算すると約2万7600kmです。地球を一周するのにかかる時間はわずか90分ほどで、1日に地球を15.5〜16周しています。

この速度は重力と遠心力がつり合う地点として計算された値であり、単なる偶然の数字ではありません。本記事を読むことで、国際宇宙ステーションの速度にまつわる数値の正確な意味と、その背景にある軌道力学の基礎まで理解できるようになります。

国際宇宙ステーションの速度は秒速7.7kmで周回している

国際宇宙ステーションの速度は、秒速およそ7.7kmです。時速に換算すると約2万7600kmとなり、これは地球上のあらゆる乗り物をはるかに上回る速さになります。宇宙ステーション「きぼう」を運用するJAXAをはじめとする公的機関の資料でも、この数値が一貫して示されています。

国際宇宙ステーションの秒速・時速の数値

国際宇宙ステーションの軌道速度は秒速7.66〜7.7km、時速では約2万7600kmと発表されています。ライフルの銃弾がおよそ秒速1km程度であることを踏まえると、その数倍の速さで飛行していることがわかります。

この速度は一定ではなく、高度や軌道の状態によってわずかに変動します。それでも大きな範囲で見れば、秒速7.6〜7.7km台に収まるのが実態です。

国際宇宙ステーションが地球を一周する時間

国際宇宙ステーションは、地球を一周するのに約90分しかかかりません。正確には92〜93分程度とされており、1日のうちに地球を15.5〜16周する計算になります。

飛行機で地球を一周すると数十時間かかるのに対し、国際宇宙ステーションの内部にいる乗組員は1時間半で同じ距離を移動します。この短い周回時間こそ、国際宇宙ステーションの速度の速さを最もわかりやすく示す指標といえます。

国際宇宙ステーションの高度と速度の関係

国際宇宙ステーションは、地球から宇宙ステーションまでの距離として約400km上空を飛行しています。NASAの資料では370〜460km程度の範囲で高度が管理されており、平均すると408km前後で安定して周回しています。

速度と高度には密接な関係があります。高度が低いほど地球の重力の影響を強く受けるため、軌道を維持するにはより速い速度が必要になります。国際宇宙ステーションの高度と速度の組み合わせは、後述する軌道力学の計算にもとづいて設定されています。

数値のばらつきが生じる理由

情報源によって秒速7.66km、7.7km、7.8kmなど、微妙に異なる数値が示されることがあります。これは測定のタイミングや、大気抵抗による軌道の減衰、軌道修正の実施状況によって実際の速度がわずかに変化するためです。

指標代表値変動幅の目安
秒速約7.7km7.6〜7.8km程度
時速約2万7600km2万7500〜2万8500km程度
高度約400km370〜460km程度
周回時間約90分90〜93分程度

こうした表記の違いは誤りではなく、観測時点や情報源の違いによる自然な誤差の範囲です。本記事では公的機関の資料にもとづき、秒速約7.7km・時速約2万7600kmを代表値として扱います。

国際宇宙ステーションがこの速度で飛行する理由

国際宇宙ステーションが秒速7.7kmという猛スピードで飛行しているのは、単に速く飛べるからではありません。地球の重力に引かれながらも落下せず、軌道を維持し続けるために必要な速度がちょうどこの値だからです。

重力と遠心力がつり合う仕組み

国際宇宙ステーションは、地球の重力によって常に地球の中心方向へ引っ張られています。同時に、円軌道を進み続けようとする慣性の力(遠心力)が働き、この2つの力がつり合うことで一定の高度を保ったまま周回できます。

地球は丸いため、国際宇宙ステーションが直進しようとしても、地表そのものが少しずつカーブして遠ざかっていきます。落下する速度と地面が離れていく速度が一致した状態こそ、軌道を周回し続ける仕組みの本質です。

第一宇宙速度とは何か

地表付近で地球を周回するために必要な速度は「第一宇宙速度」と呼ばれ、秒速およそ7.9kmとされています。この値は地球の質量と半径から導かれる理論値であり、v=√(GM/r)という計算式で求められます。

国際宇宙ステーションは高度約400kmを飛行しているため、地表よりも重力の影響がわずかに弱まり、第一宇宙速度よりもやや遅い秒速7.7km程度で軌道を維持できます。

速度が足りないと落下する理由

もし国際宇宙ステーションの速度がこれより大きく遅くなると、重力に負けてしまい、軌道を維持できずに徐々に高度を落としていきます。最終的には大気圏に突入し、燃え尽きるか地表に落下することになります。

速度不足は軌道維持における最大のリスクであり、これを防ぐために後述する軌道修正が定期的に行われています。

速度が速すぎると軌道を外れる理由

反対に速度が速すぎる場合は、遠心力が重力を上回り、国際宇宙ステーションは地球の引力を振り切って軌道の外側へ飛び出そうとします。極端に速度が高まると、地球周回軌道を離脱して宇宙空間へ飛び去ってしまう可能性もあります。

速度の状態起こること
遅すぎる場合重力に負けて高度が下がり、大気圏に突入する
ちょうど良い場合重力と遠心力がつり合い、軌道を維持できる
速すぎる場合遠心力が勝り、軌道の外側へ離脱しようとする

つまり秒速7.7kmという速度は、落下も離脱もしない絶妙なバランスの上に成り立つ、計算されつくした数値なのです。

国際宇宙ステーションの高度と軌道を維持する仕組み

国際宇宙ステーションは秒速7.7kmで飛行していますが、高度約400kmの軌道は放っておくと少しずつ低下していきます。ここでは、高度が下がる理由と、それを補うための軌道維持の仕組みを解説します。

大気抵抗による軌道の減衰

高度400km付近は宇宙空間に近いものの、実際には希薄な大気がわずかに存在しています。国際宇宙ステーションはこの大気とぶつかりながら飛行しているため、少しずつ速度と高度を失っていきます。

この現象は軌道の減衰と呼ばれ、目安として1か月あたり約2〜2.5km程度の高度低下が生じるとされています。放置すれば数年のうちに軌道を維持できなくなるため、対策が欠かせません。

軌道を再上昇させるリブースト

高度低下を補うため、国際宇宙ステーションでは定期的にエンジンを噴射して速度と高度を回復させる「リブースト」が行われています。頻度はおおむね月に1回程度です。

リブーストは、ロシアのプログレス補給船やズヴェズダのエンジンのほか、近年ではシグナス補給船やカーゴドラゴン補給船によっても実施されるようになりました。複数の宇宙船が高度維持を分担することで、運用の安定性が高まっています。

高度400kmが選ばれている理由

国際宇宙ステーションの高度が約400kmに設定されているのは、いくつかの要因を組み合わせた結果です。まず、高度が低いほど打ち上げに必要な燃料が少なく、コストを抑えられます。

また、この高度は地球の磁気圏による放射線からの防護を受けやすく、宇宙飛行士の被ばくリスクを低減できます。さらに、デブリ(宇宙ゴミ)が集中しやすい高度500km以上の領域を避けられる点も重要です。

要因高度400km付近の特徴
打ち上げコスト低高度のため燃料が少なく済み、比較的抑えられる
放射線防護地球の磁気圏の恩恵を受けやすく、被ばくリスクが低い
デブリ密集帯高度500km以上に多いデブリ帯を避けられる
大気抵抗希薄な大気の影響を受け、定期的なリブーストが必要になる

このように、国際宇宙ステーションの高度と速度は、コスト・安全性・運用のしやすさを天秤にかけたうえで選ばれた、綿密な設計の結果といえます。

国際宇宙ステーションが地上から見える理由

秒速7.7kmという圧倒的な速さで飛行している国際宇宙ステーションですが、条件が整えば地上から肉眼で見ることができます。ここでは、その仕組みと観測に適した条件を紹介します。

太陽光を反射して輝く仕組み

国際宇宙ステーション自体は光を発しているわけではありません。見えるのは、太陽の光を反射しているためです。大きな太陽電池パネルが日光を受けて反射することで、地上からでも明るい光の点として認識できます。

条件が良いときには木星に匹敵する明るさ、天頂付近を通過する際には金星に迫る明るさで輝くこともあります。街の明かりがある場所でも見つけやすい理由は、この明るさにあります。

観測に適した時間帯

国際宇宙ステーションを見るには、地上が夜でありながら上空400kmにはまだ太陽の光が当たっている時間帯が必要です。具体的には、日没後およそ1〜2時間、または日の出前の同程度の時間帯が観測の好機とされています。

この時間を外れると、地上が真夜中で暗くても、国際宇宙ステーション自体が地球の影に入ってしまい、太陽光を反射できず見えなくなります。

肉眼で見えるISSの明るさと大きさ

巨大な国際宇宙ステーションの大きさと高速で移動している性質により、見え方も特徴的です。星のようにまたたくことはなく、一定の明るさを保ったまま、光の点が空をゆっくりと横切っていくように見えます。

仰角30度以上の高さを通過する場合、1回の観測時間はおよそ2〜6分程度です。飛行機のように点滅せず、流れ星のように一瞬で消えることもない点が、国際宇宙ステーションを見分ける手がかりになります。

観測条件目安
明るさ木星〜金星に匹敵する明るさ
見やすい時間帯日没後1〜2時間、日の出前1〜2時間
観測時間の長さ1回あたり2〜6分程度
見え方の特徴点滅せず一定の明るさで移動する

このように、国際宇宙ステーションの速度と軌道の条件がそろうことで、私たちは特別な機材なしに宇宙を飛ぶ有人施設を直接この目で確かめられるのです。

まとめ:国際宇宙ステーションの速度は秒速7.7km・時速約2万7600kmで地球を周回している

本記事では、国際宇宙ステーションの速度について、正確な数値からその背景にある仕組みまでを解説してきました。秒速7.7km・時速約2万7600kmという速度は、高度約400kmの軌道で重力と遠心力をつり合わせるために必要な値であり、大気抵抗による軌道の減衰を補うリブーストによって維持されています。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • 国際宇宙ステーションの速度は秒速約7.7km・時速約2万7600km、周回時間は約90分
  • この速度は重力と遠心力がつり合う軌道力学の計算にもとづいている
  • 太陽光の反射により、条件が合えば地上から肉眼でも観測できる

本記事を読んだことで、国際宇宙ステーションの速度に関する数値のばらつきに惑わされず、なぜその速度が必要なのかを根拠を持って理解できるようになったはずです。

宇宙ビジネスや教育の現場で正確な一次情報が必要な際は、ぜひ当メディアの情報もあわせてご活用ください。

国際宇宙ステーション速度に関するよくある質問

参考文献

  1. 人工衛星はどのくらいの速さで地球の周りをまわっているのでしょうか|JAXA 有人宇宙技術部門
  2. ISSは1日に地球を何周するのですか|JAXA 有人宇宙技術部門
  3. 人工衛星やISSは、なぜ、地球に落ちてこないのでしょうか|JAXA 有人宇宙技術部門

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執筆者

Space With 編集部
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編集部

「宇宙ビジネスを、ビジネスとして読む。」をコンセプトに、国内外の宇宙産業(衛星・ロケット・宇宙データ・月面開発等)の動向を追う専門記者・アナリスト集団。AI時代に信頼される一次情報源を目指し、ファクトとデータに基づく客観的な分析・解説を日々お届けします。

監修者

Space With リサーチチーム
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リサーチチーム

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