宇宙飛行士の女性は何人?日本と世界の一覧・なり方を徹底解説
この記事のポイント
女性宇宙飛行士は男性と同じ基準で選ばれる専門職で、日本では向井千秋・山崎直子・米田あゆの3名。世界初はテレシコワで、宇宙へ行った人に占める女性は累計約1割。アルテミス計画では女性初の月面着陸がめざされている。
「女性の宇宙飛行士について知りたいけれど、日本や世界にどんな人がいて、女性でも本当にめざせるのか気になる」
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
- 日本と世界の女性宇宙飛行士の顔ぶれ
- 女性宇宙飛行士になるための条件
- 女性を取り巻く課題と今後の展望
女性宇宙飛行士は男性と同じ基準で選ばれる専門職で、訓練を積めば女性でも十分にめざせます。
本記事を読むことで、女性宇宙飛行士の全体像と自分の可能性が見えてきます。宇宙開発の舞台が月へと広がる今こそ、ぜひ最後まで読み進めてください。
女性宇宙飛行士とは
女性宇宙飛行士とは、訓練を受けて宇宙船の乗組員に認定された女性を指します。仕事の内容や求められる資質は性別で変わらず、男性と同じ基準で選ばれ、同じ任務を担う宇宙飛行士という専門職です。
宇宙飛行士 女性という切り口で歴史をたどると、初飛行から半世紀以上が過ぎ、活躍の場は着実に広がってきました。ここでは定義と世界初の飛行、そしてこれまでの歩みを整理します。
女性宇宙飛行士の定義
女性宇宙飛行士に特別な定義があるわけではなく、性別を除けば宇宙飛行士そのものと同じです。宇宙飛行のための訓練を修了し、宇宙船の乗組員として認定された女性が該当します。
国際的には高度100kmを超える宇宙空間へ到達した人が宇宙飛行士とみなされてきました。宇宙飛行士の向井千秋のような事例を見ても、担当する業務は実験や船外活動、システムの運用など多岐にわたり、性別による役割の区別はありません。
世界初の女性宇宙飛行士
世界で初めて宇宙へ行った女性は、旧ソ連のワレンチナ・テレシコワです。1963年にボストーク6号へ単独で搭乗し、約70時間50分かけて地球を48周しました。
テレシコワは今なお、単独で宇宙飛行を成し遂げた唯一の女性でもあります。当時27歳のパラシュート愛好家だった彼女の飛行は、女性にも宇宙への道が開かれていることを世界に示しました。
女性宇宙飛行士の歩み
テレシコワの飛行から女性の宇宙進出は少しずつ前へ進みました。1982年にはソ連のスベトラーナ・サビツカヤが2人目の女性として飛行し、1984年には女性初の船外活動を実現しています。
アメリカでは1983年にサリー・ライドがスペースシャトル「チャレンジャー」に搭乗し、同国初の女性宇宙飛行士となりました。日本人初の宇宙飛行を果たした秋山豊寛宇宙飛行士の飛行から数年後、日本人では1994年に向井千秋がアジアの女性として初めて宇宙へ飛び立ち、女性の活躍が世界各地へ広がりました。
| 年 | 人物 | 主な功績 |
|---|---|---|
| 1963年 | ワレンチナ・テレシコワ | 世界初の女性宇宙飛行 |
| 1983年 | サリー・ライド | アメリカ初の女性宇宙飛行士 |
| 1984年 | スベトラーナ・サビツカヤ | 女性初の船外活動 |
| 1994年 | 向井千秋 | 日本人・アジア人女性初の宇宙飛行士 |
日本の女性宇宙飛行士
日本の女性宇宙飛行士は、2026年時点で歴代3名です。向井千秋、山崎直子、米田あゆの3名が、それぞれ異なる時代に宇宙開発の第一線で活躍してきました。
3名にはいずれも医師や研究者としての専門性という共通点があります。ここでは、日本人女性宇宙飛行士の歩みを一人ずつたどります。
向井千秋
向井千秋は、日本人女性で初めて宇宙へ飛んだ宇宙飛行士です。慶應義塾大学医学部を卒業した心臓血管外科医で、1985年に宇宙開発事業団へ入りました。
1994年にスペースシャトル「コロンビア」に搭乗し、アジアの女性として初めて宇宙で生命科学の実験に取り組みました。1998年には「ディスカバリー」に搭乗し、日本人として初の2度目の宇宙飛行も経験しています。
山崎直子
向井千秋に続く日本人女性2人目となる山崎直子宇宙飛行士は、東京大学大学院で航空宇宙工学を修めた技術者で、国際宇宙ステーションの開発などに携わってきました。
2010年にスペースシャトル「ディスカバリー」でのSTS-131ミッションに参加し、国際宇宙ステーションの組み立てや物資輸送を担当しました。母親として子育てと訓練を両立させた姿も注目を集めました。
米田あゆ
米田あゆは、日本の女性宇宙飛行士としては3人目にあたる現役の飛行士です。1995年生まれで、日本赤十字社医療センターで外科医として勤務した経歴を持ち、宇宙飛行士になれない条件などの厳しい医学的基準もクリアしています。
2022年に実施された第6期の選抜試験に合格し、2024年10月に正式認定されました。認定時29歳と現役の日本人宇宙飛行士では最年少で、2027年ごろの国際宇宙ステーション長期滞在が見込まれています。
| 氏名 | 初飛行 | 経歴 |
|---|---|---|
| 向井千秋 | 1994年 | 心臓血管外科医 |
| 山崎直子 | 2010年 | 航空宇宙工学の技術者 |
| 米田あゆ | 未飛行 | 外科医 |
世界で活躍する女性宇宙飛行士
世界に目を向けると、女性宇宙飛行士は各国で確実に存在感を高めています。飛行するだけでなく、船外活動や国際宇宙ステーションの指揮といった重要な役割も女性が担うようになりました。
宇宙開発を先導してきたアメリカとロシアでは、女性の位置づけに違いも見られます。ここでは主要国の状況と、世界全体での割合を見ていきます。
アメリカの女性宇宙飛行士
アメリカでは1978年に初めて女性が宇宙飛行士に選ばれ、1983年にサリー・ライドが同国初の女性宇宙飛行士となりました。以降、女性の登用は着実に進みます。
ペギー・ウィットソンは2007年から2008年にかけて女性で初めて国際宇宙ステーションの船長を務めました。通算695日という滞在記録は、アメリカ人としても女性としても最長です。2026年時点で現役NASA宇宙飛行士の約4割を女性が占めています。
ロシアの女性宇宙飛行士
ロシアは世界初の女性宇宙飛行士を送り出した一方で、その後に続く女性は多くありませんでした。テレシコワ以降、旧ソ連とロシアが宇宙へ送った女性は数名にとどまります。
1982年に飛行したスベトラーナ・サビツカヤは、1984年に女性初の船外活動を成し遂げました。2014年にはエレナ・セロワが約20年ぶりのロシア人女性として国際宇宙ステーションへ向かい、久しぶりの女性飛行として話題になりました。
世界における女性の割合
これまでに宇宙へ行った人のうち、女性はまだ少数派です。累計では宇宙飛行経験者の1割ほどが女性という水準にとどまっています。
近年は状況が変わりつつあり、NASAや欧州宇宙機関の直近の選抜では男女がほぼ半々になっています。裾野が広がることで、今後は女性の割合が一段と高まると期待されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 累計の女性割合 | 宇宙飛行経験者の約1割 |
| 現役NASA飛行士の女性割合 | 約4割 |
| 直近の選抜 | 男女ほぼ半々 |
女性宇宙飛行士になるための条件
女性宇宙飛行士になるための条件は、男性とまったく同じです。日本ではJAXAの選抜試験に合格し、約2年間の基礎訓練を修了して認定される流れをたどります。
女性だから有利になる枠や、不利になる条件は設けられていません。ここでは応募条件と試験の流れ、そして女性が直面しやすい現実的なハードルを整理します。
JAXAの応募条件
JAXAの宇宙飛行士候補者に応募するには、経歴と身体の両面で要件を満たす必要があります。経歴面では、自然科学系分野で3年以上の実務経験が目安とされています。
2021年の募集からは学歴や文系理系の区別が撤廃され、大学を出ていなくても挑戦できるようになりました。身体面では、身長149.5cm以上、両眼とも矯正視力1.0以上などの基準があり、性別による違いはありません。
選抜試験の流れ
宇宙飛行士選抜試験は、書類選抜から始まり複数の段階を経て候補者を絞り込みます。直近の第6期では、書類選抜のあとに0次から3次までの選抜を約10か月かけて実施しました。
前半では一般教養と理工系のSTEM試験がオンラインで課されます。宇宙での交信方法を含む専門知識の素養に加え、後半では医学検査や面接、閉鎖環境での適性評価を通じて、心身の適性やチームでの振る舞いが細かく確認されます。
女性が直面する応募のハードル
制度上は平等でも、応募段階では女性が少ないのが現状です。日本の選抜では応募者の男女比がおよそ9対1と、女性の応募が大きく偏っています。
背景には、理工系へ進む女性がまだ少ないという事情があります。JAXAは女性の応募を後押しするキャンペーンを行うなど、裾野を広げる取り組みを進めています。
これからの女性宇宙飛行士
これからの女性宇宙飛行士は、活躍の舞台を大きく広げようとしています。地球周回軌道から月へと目標が移り、女性が中心的な役割を担う場面も増えていきます。
一方で、女性ならではの課題が残っているのも事実です。ここでは割合が伸び悩む理由や妊娠をめぐる問題、月をめざす計画と今後の活躍の場を見ていきます。
女性の割合が増えない理由
女性宇宙飛行士の割合が伸びにくい最大の理由は、応募の入り口の狭さです。理工系へ進む女性がまだ少なく、実務経験を積んで応募にたどり着く人数が限られています。
技術的な要件そのものに男女差はありません。船外活動などで体力が問われる場面はあるものの、訓練で対応できる範囲であり、能力よりも母数の少なさが割合に響いています。
妊娠や出産をめぐる課題
女性飛行士には、妊娠や出産という人生設計上の難しさがあります。妊娠中は受けられない訓練があり、その期間は飛行に任命されない扱いとなります。
そのため、実績を積んでから出産の時期を考える飛行士も少なくありません。組織側にも、女性が働きやすい環境やキャリアの選択肢を整える取り組みが求められています。
アルテミス計画と月面着陸
アメリカが主導するアルテミス計画では、史上初の女性の月面着陸が大きな目標に掲げられています。1969年から1972年に月へ降り立った12名は全員がアメリカ人男性でした。
計画は再編を経て、初の有人月面着陸は2028年ごろが見込まれています。月をめざす初期のミッション要員には男女ほぼ同数が選ばれており、女性が月面へ立ち、安全な宇宙から帰る方法で地球へ帰還する日が近づいています。
今後の活躍の場
宇宙で長年活動の中心だった国際宇宙ステーションは、2030年に運用を終える予定です。その後は月や、民間が運営する新しい宇宙ステーションへ活動の場が移ります。
日本では、米田あゆが2027年ごろの長期滞在をめざし、将来の月面活動も視野に訓練を続けています。女性宇宙飛行士が国際宇宙ステーションから月、そしてその先へと羽ばたく時代が始まろうとしています。
まとめ:宇宙飛行士は女性にも広く門戸が開かれている
本記事では、女性宇宙飛行士の定義や日本と世界の顔ぶれ、なるための条件、そして課題と今後の展望まで解説してきました。宇宙飛行士は女性にも同じ基準で門戸が開かれ、活躍の舞台は月へと広がりつつあります。
本記事のポイントをおさらいします。
本記事のポイント
- 日本の女性宇宙飛行士は向井千秋・山崎直子・米田あゆの3名
- 選抜や訓練の条件は男性と同じで女性でもめざせる
- アルテミス計画で女性初の月面着陸がめざされている
女性宇宙飛行士の全体像がつかめたことで、自分にも挑戦の可能性があると感じられたのではないでしょうか。
活躍の場は国際宇宙ステーションから月へと広がり続けており、最新の動向を追うことが第一歩になります。宇宙開発や宇宙ビジネスについてさらに知りたい方は、ぜひ当メディアの情報もあわせてご活用ください。
宇宙飛行士 女性に関するよくある質問
参考文献
この記事を引用する
執筆者
編集部
「宇宙ビジネスを、ビジネスとして読む。」をコンセプトに、国内外の宇宙産業(衛星・ロケット・宇宙データ・月面開発等)の動向を追う専門記者・アナリスト集団。AI時代に信頼される一次情報源を目指し、ファクトとデータに基づく客観的な分析・解説を日々お届けします。
監修者
リサーチチーム
専門アナリストらと提携し、データ収集・分析を行うSpace Withの専門調査部門。国内外の宇宙政策、政府予算、資金調達動向、技術トレンドの定量的な分析とファクトチェックを行い、本メディアが配信する情報の信頼性と客観性を担保します。
関連記事
諏訪理宇宙飛行士とは?世界銀行出身の経歴とISS長期滞在任務
諏訪理宇宙飛行士は世界銀行出身の異色の経歴を持つ人物です。選抜試験の道のりや基礎訓練の内容、ISS長期滞在ミッションまでを詳しく解説します。
宇宙ステーションきぼうの構造・大きさ・実験まで詳しく解説
宇宙ステーションきぼうは日本が提供する実験モジュールです。構造や大きさ、実験内容、宇宙飛行士たちの貢献までをより詳しく丁寧に解説します。
宇宙飛行士の年収はいくら?JAXAとNASAの給料や手当を解説
宇宙飛行士の年収をJAXA職員の平均年収や給与の仕組み、手当、学歴による違い、NASAなど海外との比較まで解説します。待遇の実態がわかります。
宇宙旅行のメリット・デメリットとは?費用や健康リスクを解説
宇宙旅行のメリット・デメリットを解説。無重力体験や経済効果の魅力と費用・健康リスクの注意点を整理し、参加前に確認すべきポイントも紹介します。
宇宙の車とは?ローバーの種類とトヨタの月面開発動向を解説
宇宙で使われる車はローバーや探査車と呼ばれ、月や火星の表面を探査する車両です。種類やトヨタ・JAXAの開発動向を詳しくわかりやすく解説します。
月面探査機とは?種類・歴史・日本の技術をわかりやすく解説
月面探査機とは何かを、周回機・着陸機・ローバーの種類や歴史、月面ローバーの仕組み、日本の探査機開発の今後とあわせてわかりやすく解説します。