宇宙飛行士になれない条件とは?身長・視力・年齢の基準を解説
この記事のポイント
宇宙飛行士になれない条件は、身長149.5〜190.5cmや矯正視力1.0以上などの身体基準、日本国籍と実務経験3年以上、欠格事由に当たらないことを満たせない場合に限られる。虫歯や年齢、文系という思い込みの多くは誤解で、2021年度に条件は大きく緩和された。
「宇宙飛行士に憧れているけれど、視力や年齢、学歴で自分はなれない条件に当てはまるのではないか。本当のところ何が理由で対象外になるのか知りたい」
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
- 身体面で定められたなれない条件
- 国籍や経歴に関わる応募資格の要件
- 誤解されやすい条件と緩和された背景
宇宙飛行士になれない条件は、身体基準と応募資格を満たさない場合に限られ、虫歯や年齢、文系といった思い込みの多くは当てはまりません。
本記事を読むことで、自分が本当に対象外なのか、それとも誤解で諦めていたのかがはっきりします。挑戦への一歩として、ぜひ最後まで読み進めてください。
宇宙飛行士になれない条件の全体像
宇宙飛行士になれない条件は、身体面の基準、応募資格の要件、そして誤解されやすい条件の3つに整理できます。JAXAの宇宙飛行士候補者募集では、この基準を一つでも満たさないと応募できません。
まず宇宙飛行士について理解し、なれない条件の全体像をつかむことで、自分が本当に対象外なのか、それとも誤解で諦めているだけなのかが見えてきます。ここでは3つの視点から、条件の枠組みを整理します。
身体面の基準
身体面の基準は、宇宙という極限環境で任務を遂行できる心身かどうかを見るための条件です。身長や視力、色覚、聴力などに数値や基準が定められています。
これらは安全に関わる部分のため、基準の範囲外だと応募できません。ただし2021年度の募集では体重制限が撤廃されるなど、以前より枠は広がっています。
応募資格の要件
応募資格の要件は、身体面とは別に定められた条件です。日本国籍を持つこと、一定の実務経験があること、そして欠格事由に当てはまらないことが求められます。
たとえば禁錮以上の刑を受けている人などは、この欠格事由によって応募できません。国籍や経歴に関わる条件は、身体基準と違って本人の努力では変えにくい部分になります。
誤解されやすい条件
宇宙飛行士になれない条件には、事実とは異なる思い込みも多く含まれます。虫歯があるとなれない、年齢で切られる、文系だと無理といった話は、いずれも正確ではありません。
こうした誤解から、宇宙飛行士になるにはどうすればよいか悩み、挑戦を諦めてしまう人も少なくありません。野口宇宙飛行士の解説などからもわかるように、正しい基準を知ることが、宇宙飛行士をめざす第一歩になります。
身体面で定められた宇宙飛行士になれない条件
身体面で宇宙飛行士になれない条件は、JAXAの医学的特性の基準として明確に定められています。この基準の範囲外だと、他の条件を満たしていても応募できません。
女性の宇宙飛行士にとっても壁になりやすかった身長ですが、現在は149.5cm以上190.5cm以下という範囲が基準です。この範囲から外れると、身体面の条件を満たせず応募できません。
2021年度の募集で定められた基準は、身長、視力、色覚、聴力の4項目が中心です。数値は次の表のとおりで、いずれも宇宙船内や船外活動での安全を守るために設けられています。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 身長 | 149.5cm以上190.5cm以下 |
| 視力 | 両眼とも矯正視力1.0以上 |
| 色覚 | 正常(石原式による) |
| 聴力 | 正常(背後2mの距離で会話が可能) |
身長の基準
宇宙飛行士女性にとっても壁になりやすかった身長ですが、現在は149.5cm以上190.5cm以下という範囲が基準です。この範囲から外れると、身体面の条件を満たせず応募できません。
以前の募集では下限が158cmとされていた時期もありました。現在は宇宙服とは何かにも関わる宇宙船や宇宙服の設計が進み、対応できる体格の幅が広がったことで、下限が149.5cmまで引き下げられています。
視力の基準
視力は両眼とも矯正視力1.0以上が条件です。裸眼視力ではなく矯正後の視力で判断されるため、眼鏡やコンタクトレンズで1.0以上に届けば問題ありません。
レーシックなどの視力矯正手術を受けた人も、基準を満たせば応募できます。視力が悪いという理由だけで諦める必要はないという点が、誤解されやすいところです。
色覚の基準
色覚は石原式の検査で正常と判定されることが求められます。宇宙船内では計器の色や警告灯を正確に見分ける必要があるためです。
色覚に不安がある場合は、事前に検査で確認しておくと安心できます。基準を満たさないと応募段階で対象外となる項目になります。
聴力の基準
聴力は、背後2mの距離で普通の会話が聞き取れる程度が正常の目安です。船内での連絡や地上管制とのやり取りを正確に行うために必要とされます。
聴力も安全に直結する項目のため、基準を満たさないと応募できません。日常生活で会話に支障がない程度であれば、多くの場合は問題ないとされています。
応募資格で宇宙飛行士になれない条件
応募資格で宇宙飛行士になれない条件は、身体基準とは別に定められています。日本国籍、実務経験、欠格事由という3つの要件が中心です。
これらは書類選抜の段階で確認される項目です。一つでも当てはまらないと、身体面の基準を満たしていても宇宙飛行士候補者には応募できません。
日本国籍が必要
JAXAの宇宙飛行士候補者に応募し、日本の宇宙飛行士として活動するには、日本国籍が必要です。日本国籍を持たない人は、この時点で応募資格を満たせません。
宇宙機関ごとに国籍の条件は異なります。アメリカのNASAでは原則として米国市民権が必要で、永住権(グリーンカード)だけでは応募できないとされています。
| 宇宙機関 | 国籍の条件 |
|---|---|
| JAXA(日本) | 日本国籍が必要 |
| NASA(アメリカ) | 原則として米国市民権が必要 |
実務経験の要件
実務経験は、募集時点で3年以上あることが目安とされています。この年数に届かないと応募できません。
大学院での宇宙ヘルメットの研究といった学びも、経験として一定の年数に換算されます。修士号取得者は1年、博士号取得者は3年を実務経験とみなす扱いが取られてきました。
欠格事由に該当する場合
欠格事由に当てはまる人は、他の条件を満たしていても応募できません。JAXAの募集要項では、応募できない者の条件が明確に示されています。
具体的には次のような場合が該当します。
- 禁錮以上の刑を受け、その執行が終わるまでの人、または執行猶予の期間中の人
- 日本国憲法やその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する団体を結成し、または加入した人
- 反社会的勢力と社会的に非難されるべき関係を持つ人
誤解されやすい宇宙飛行士になれない条件
宇宙飛行士になれない条件には、事実と異なる思い込みが数多くあります。虫歯、年齢、文系という3つは、特に誤解されやすい代表例です。
これらを理由に挑戦を諦める人もいます。正しい情報を知れば、対象外だと思っていた人にも道が開けている場合があります。
虫歯があるとなれないという誤解
虫歯があると宇宙飛行士になれないという話は、正確ではありません。虫歯があっても、治療していれば応募に支障はないとされています。
歯に詰め物があっても問題ないと説明されています。盲腸や虫歯でなれないという都市伝説が広まっていますが、治療済みであれば心配はいりません。
年齢で制限されるという誤解
宇宙飛行士に年齢制限があるという思い込みも、よくある誤解です。2021年度の宇宙飛行士選抜試験についての募集では、応募条件に年齢の上限や下限は設けられていません。
実務経験や医学的特性の基準を満たせば、幅広い年代が応募できます。年齢を理由に自動的に対象外となることはないという点が、以前の募集との大きな違いです。
文系はなれないという誤解
文系だと宇宙飛行士になれないという考えも、現在は当てはまりません。2021年度の募集から学歴要件が撤廃され、文系や理系の区別なく応募できるようになりました。
ただし選抜の過程では、一般教養に加えて理工系のSTEM試験が課されます。文系でも応募はできる一方で、幅広い基礎学力は必要になるという点は押さえておくべきです。
宇宙飛行士になれない条件が緩和された背景
宇宙飛行士になれない条件は、2021年度の募集で大きく緩和されました。約13年ぶりとなった募集では、以前は対象外だった多くの人に門戸が開かれています。
背景には、月や火星をめざす時代に多様な人材が必要という考えがあります。ここでは体重制限の撤廃、学歴不問への変更、多様な人材を求める流れの3点から、その理由を見ていきます。
体重制限の撤廃
かつては体重に関する制限が設けられていました。2021年度の募集では、この体重制限が撤廃されています。
背景には、宇宙船や宇宙服といった機材の技術的な進歩があります。対応できる体格の幅が広がったことで、体重を理由に応募できないという条件がなくなりました。
学歴不問への変更
2021年度の募集では、それまで条件だった大学卒業という学歴要件が撤廃されました。学歴を問わない宇宙飛行士の募集は、世界でも初めての試みとされています。
これにより、応募資格は実務経験と医学的特性の2つだけになりました。学歴という入り口の壁がなくなったことで、応募者数は4127名まで増え、前回2008年の963名から大きく伸びています。
多様な人材を求める流れ
条件の緩和の根底には、多様な人材を求める流れがあります。国際宇宙ステーションから月へと活動の場が広がる中で、幅広い経歴や視点を持つ人が必要とされています。
学歴で入り口を狭めるのではなく、選抜の中で一般教養やSTEMの力を直接評価する方針へと切り替えられました。この変化は、これまで対象外と感じていた人にとって挑戦の機会が広がったことを意味します。
まとめ:宇宙飛行士になれない条件は身体基準と応募資格を満たさない場合
本記事では、宇宙飛行士になれない条件を、身体面の基準、応募資格の要件、誤解されやすい条件、そして緩和された背景という流れで解説してきました。身長や視力などの身体基準と、国籍や実務経験、欠格事由といった応募資格を満たさない場合が、なれない条件の中心です。
本記事のポイントをおさらいします。
本記事のポイント
- 身長149.5〜190.5cmや矯正視力1.0以上などの身体基準
- 日本国籍と実務経験3年以上、欠格事由に当たらないこと
- 虫歯や年齢、文系という思い込みの多くは誤解
なれない条件の全体像がつかめたことで、自分が本当に対象外なのか、それとも誤解で諦めていただけなのかが見えてきたのではないでしょうか。
2021年度の募集では条件が大きく緩和され、これまで対象外と感じていた人にも挑戦の道が開かれています。宇宙開発や宇宙ビジネスについてさらに詳しく知りたい方は、当メディアの情報もぜひご活用ください。
宇宙飛行士 なれない条件に関するよくある質問
参考文献
この記事を引用する
執筆者
編集部
「宇宙ビジネスを、ビジネスとして読む。」をコンセプトに、国内外の宇宙産業(衛星・ロケット・宇宙データ・月面開発等)の動向を追う専門記者・アナリスト集団。AI時代に信頼される一次情報源を目指し、ファクトとデータに基づく客観的な分析・解説を日々お届けします。
監修者
リサーチチーム
専門アナリストらと提携し、データ収集・分析を行うSpace Withの専門調査部門。国内外の宇宙政策、政府予算、資金調達動向、技術トレンドの定量的な分析とファクトチェックを行い、本メディアが配信する情報の信頼性と客観性を担保します。
関連記事
諏訪理宇宙飛行士とは?世界銀行出身の経歴とISS長期滞在任務
諏訪理宇宙飛行士は世界銀行出身の異色の経歴を持つ人物です。選抜試験の道のりや基礎訓練の内容、ISS長期滞在ミッションまでを詳しく解説します。
宇宙ステーションきぼうの構造・大きさ・実験まで詳しく解説
宇宙ステーションきぼうは日本が提供する実験モジュールです。構造や大きさ、実験内容、宇宙飛行士たちの貢献までをより詳しく丁寧に解説します。
宇宙飛行士の年収はいくら?JAXAとNASAの給料や手当を解説
宇宙飛行士の年収をJAXA職員の平均年収や給与の仕組み、手当、学歴による違い、NASAなど海外との比較まで解説します。待遇の実態がわかります。
宇宙旅行のメリット・デメリットとは?費用や健康リスクを解説
宇宙旅行のメリット・デメリットを解説。無重力体験や経済効果の魅力と費用・健康リスクの注意点を整理し、参加前に確認すべきポイントも紹介します。
宇宙の車とは?ローバーの種類とトヨタの月面開発動向を解説
宇宙で使われる車はローバーや探査車と呼ばれ、月や火星の表面を探査する車両です。種類やトヨタ・JAXAの開発動向を詳しくわかりやすく解説します。
月面探査機とは?種類・歴史・日本の技術をわかりやすく解説
月面探査機とは何かを、周回機・着陸機・ローバーの種類や歴史、月面ローバーの仕組み、日本の探査機開発の今後とあわせてわかりやすく解説します。